Quand tu liras cette lettre
(この手紙を読むときは)  1953年・フランス

2021年6月14日(月)  セルDVD

監督  ジャン=ピエール・メルヴィル
主演  ジュリエット・グレコ

感想の前に
この映画に出てくる地名「レ・ザルク(Les Arcs)」は
フランスの北の方(ドイツやイタリアとの国境にも近くなる)
の有名スキー観光地ではなく

カンヌからマルセイユに向かう道路(線路)の途中にある街です。
(大雑把に見て、3分の1ほどのところ)
多分小さい街なのではないでしょうか?
70年前は「療養施設しかない」と、台詞で言われていました。

今現在、カンヌからマルセイユは、有料道路使用の車でも
電車でも2時間ちょっとかかるようなので
70年前に「カンヌからレ・ザルクまで列車で2時間」
というセリフは妥当だと思います。
(マルセイユまでは6時間ほどかかったのでしょう)

日本でも全然別の土地なのに、同じ名前の場所はありますよね?
きっとそうなのだと思います。



感想
今までに見たこの監督の作品はあまり好きではありません。
「影の軍隊」は、まあまあでしたが。。。

私が大好きなフランス映画を途切れさせたノワール系の方です。
感想に書いてあるのは内容ばかりですが
たしかに、光と影・美術などの演出は
すぐれた作品だったように思いました。

以下、この感想文は映画の内容や結末についても書いてあります。
未見の方はご注意ください。



書き忘れたので、先に書きますが、マダムが哀れでした。
中学生の子供がいるなら、何故その一点で我慢できなかったのか?
乳幼児とは違うけど、成人していない子供がいる女性は
女である前に、母親でいてほしい、私のささやかな願いです。


******************************


私はテレーズは最初から最後までその目で見ていた先にあったものは
「神(フランスなのでマリア様経由)」だけだと思います。

ただし、妹と祖父母、修道院の皆様などへの想いも
別の意味での愛でしょう。

マックスはプロのジゴロ?女たらし?なので(現代風に言えば、クズ)
女性が自分に惹かれる方法を知っていて
ただ一人、そうならなかった女を屈服させること
(そうしたいという強い願い)を
(他の女性とは違う)本物の愛情だと思い込んだだけだと思います。

マルセイユ行きの列車に乗ったテレーズは
マックスと刺し違えてでも妹を守る事しか
考えていなかったと思います。

刺し違える・・・
神の教えに背くこと、そのことへの恐れだけが
彼女の硬い表情を作っていたのだと思います。

老婆の話は、私が見たDVDでは、少年ではなく
結婚の約束をした相手、だったので、マックスは関係なく
ただの通りすがりだと思いますが
その内容的に、妹が被ったような気もします。

妹は本当に子供で、ちょっと気になった男の子にそんなことされて
でも、結婚を申し込むという事は
自分を好きなのだと信じたのかもしれません?

いつかきっと、全てが姉の意思だったと気付き、傷つくと思いますが
あの時の姉に出来たことはそれだけだったとも気付くと思います。

私としては、神への愛だけを知り、
妹を導くすべを知らなかったテレーズの「この世的な無知」が哀しいです。

マックスについては「あなたの姉ならついてゆく」と言った通りに
妹の夫の姉は「姉」なのでしょう。





この映画の結末
この記事は未見の方への注意をしてあるので白文字にはしません。

祖父母が(馬で!)田舎に帰る時に、テレーズは妹に
「マックスが結婚のための書類をパリに取りに行ったので
4日くらい帰らないし、自分は3日くらい修道院に行くから」
と言って、祖父母と一緒に田舎に行かせた。

その夜、テレーズは
(レ・ザルク経由だが、テレーズにとってはその地名は何の意味もない)
マルセイユ行きの列車に乗った。

ローラがそれを確認して、
レ・ザルクの駅の向かい側の食堂にいるマックスに電話した。

有頂天のマックスは、ビケに手紙を書いたり
シャンペンを抜いたり、
ウエイトレスにちょっかい出したりに忙しく
列車の時間ギリギリになってしまい、地下通路を通らずに、
列車の前を横切ろうとして、ひかれて、死んだ。

テレーズはその列車に乗っていたが、何も知らない。
虚しい「女を転がすだけの人生」だった男の死骸を残して
列車は出発した。

・・・多分、ずいぶん日数の経った後のカンヌの修道院にて、
テレーズが以前のように祈る。
そこにマックスの魂の救済もプラスして。

カメラはカンヌの街を見下ろして、FIN。

私の推理として、その頃の妹は田舎で祖父母と暮らしている。
テレーズとしては、祖父母が元気なうちに、
妹の今後のこと(結婚相手)が決まらなければ
カンヌに戻して、修道院の近くで暮らさせるつもりだと思うが、

妹自身が、あの事件以降ずっと姉に踊らされていたことに気付いたら、
何としてでも一人で生きようとすると思う。

ただし、気付いていても、祖父母が他界しない限りは
二人に心配をかけるようことはできないと思う。

いつかずっと先で、テレーズの願い通りに
現世での幸せをつかんだ妹(と家族、子供達も)と
再会できる日が来ると信じます。



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