殿堂入り
Voyage of the Damned  
(さすらいの航海) 1976年・イギリス/スペイン

2021年5月20日(木)  ザ・シネマ
監督  スチュワート・ローゼンバーグ
主演  スターさんばかりの中、
役柄として一番素晴らしかったモリス・トローバーさん役の
俳優ベン・ギャザラさんの名前をここに大きく書きたいです

感想
この映画を見るのは3回目ですが、多分、3回とも
微妙に違うバージョンを見た気がします。

初見時は封切り一年後の名画座、
多分、3時間だったと思います。
再見時はDVD発売前で、探して買ったVHSで、
かなり短かったと思うから145分版?
今回は2012年にザ・シネマでオンエアされた145分前後ですが、
ちょっとセルVHSとは始まり方が違った気がしました。

オンエアされたものを今まで見なかったのは、
あれだけ探して必死に高い古いVHSを見て
2年でオンエアってマジ?とムカついていたからです。

今回は「屋根の上のバイオリン弾き」も
「ドクトル・ジバゴ」も見たので、
あとこれともう1本(アレですよ、アレ・笑)だけ
見るしかない波に乗って、見られました♪

で、再見時に胸がいっぱい過ぎて
お恥ずかしい限りの感想文をさらしていますが、
今回はけっこう冷静に見ました。

まず、老教授夫妻の妻の方が、最近見たぞと思いつつ、
だんだんいらいらして、
ハッと気づいたときの嬉しさったらなかったです(笑)。
(「オリエント急行殺人事件」の公爵夫人役)

次に、船内の出来事は結構覚えていたんですが、
あのキューバ・ハバナの出来事や人間たちや、
メイスンさんとキャサリン・ロスくらしか
ハッキリとは覚えていなかったので、ものすごくびっくりしました。

この映画の舞台は、ハバナと言っても良いくらいで!
悪い奴ら一杯それらしき俳優陣がやっていたけど、
その中を娘二人を取り戻したい一心のお父さん(お医者の)あの人が、
いろんな人のところを泳ぐように回って、
そして静かにものすごく静かに、反戦や怒りや悲しみを訴えていて、
それがあの結果になったことが、良い涙として結ばれて良かったです。

良くない涙というか、彼ら親子とは違う対面をした
キャサリン・ロスとマリア・シェルとお父さんの
3人の場面は本当に深く重い涙でしたね・・・
その「お金で生き延びて、いつか娘と再会できた」のか???

それから、ドイツ人であの偉そうな宣伝部の人間に
たてついた人が「海に落ちた(多分、殺された)事」も
忘れていたので、仰天しました。

乗客については、
他の幾組かも思い出して泣いたり喉にモノが詰まったりしましたが、
今回はあの再見時にしびれた台詞が違う訳し方だったので、
ちょっと受け止め方も変わってしまいました。

それで、かなり冷静になったんだと思うんですが、
この船に乗れたのは、医師・弁護士・教授・教師・会社役員などで、
あぁ貧しい(というか社会的地位のない)ユダヤ人の人は
乗る事さえできなかったんだと、この船だけではなかったのだと、

これが始まりで、まだ戦争は始まってもいなかったのだと、
あと何年も地球を滅茶苦茶にして続いたのだと、
そういう感想が強かったです。

どうしても、17歳の高3に戻ってしまいましたね(笑)。
メイスンさんが好きでした(笑)。
今度は、また内容をかなり忘れたころに見たいと思います。



初見時等の感想はこちら

さすらいの航海 (76・英/西) ・・・1-228
さすらいの航海 (76・英/西)(2回目) ・・・ 1-228





この映画の結末

トローバーさんの骨折りが実を結んで、
欧州4か国が全員を受け入れるという連絡が入った。
この日から数日後にWWⅡは開戦した。

ドイツが強かったので、せっかく他国に入っても
結局、彼らの3分の2は捕まって収容所に送られた。

その後のこととして、
ユダヤ人教師の男性2名はアウシュビッツで死亡。
医師で教授の中心人物夫妻は収容所には入れられたが生き延びた。
娘に死なれた女性は戦後、キューバで降ろされた夫と再会。
キューバで子供に会えなかった女性は、戦後再会できた。
娼婦の娘がくれた大金を持った夫婦は、戦時下のベルギーで隠れ生き延びた。

ドイツ人宣伝部のあいつは45年に英国人に射殺された。
船長は戦犯として裁かれたが、この船の乗客の署名で助かり、
反対に西ドイツ政府から戦後表彰された。

それぞれにモデルはいるが、名前や職業は変えてあると書かれていた。
(心中した娘はモデルなし)



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