風の電話  2020年・日本

2021年3月28日(日)  日本映画専門チャンネル
監督  諏訪敦彦
主演  モトーラ世理奈

感想
この作品の感想文は、内容に深く触れています。
未見の方はご注意ください。
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この映画には、今現在の日本での
弱者というか
立場の弱い顧みられない人々がたくさん出てきて、
言いたいこと山盛りで、全然良くなかった。

主人公のこと
(震災の津波で家は流れ、両親と弟がさらわれ未だに行方不明)
だけでも、見ているこっちにはたいへんなのに

その高校三年生の子が、今現在世話になっているおばが
倒れ入院したことで、一人ぼっちになる恐怖からか、
生まれ故郷の大槌町を目指すというのが、まず、ありえないと思うし、

出会う人出会う人、
洪水の後に行政がちゃんとしないからくちゃくちゃになった場所、
そのそばに住む、認知症の母親を自宅で介護する中年の男、
ラッキーに車に乗せてくれた、40過ぎて父親のない子供を産む女とその弟、
ここだけが現実的だった、襲い掛かろうとした若い男3人
から助けてくれた人間が、
原発の近くで住んでいた人物で妻と子供がこれまた行方不明。
その人間が探す、クルド難民の家族や友人、入管で1年という話など、
その人間の家に行き、その近所で一軒だけ帰っている老夫婦。
最後は父親を交通事故で亡くした中学生、

これでもかこれでもかと、
これらの不幸を見よ考えよと、そんなにせっつかれても
私にはどうして良いのか全く分からない。
困る。

主人公の子はモデルらしいけど、めっちゃ不細工で
ほとんど笑わないので、すごく印象が悪い。
他の俳優に良いのを出しても、ちょっとね?って感じ。

主人公の問題だけを深く掘るか、
せめてあと2つまでにしてほしかった。

震災でまだ2500人も行方不明と、10年の報道で知ったけど
私には何もしてあげられないし、
今後も南海トラフとか・いろいろとあるんだろうな、と思って
本当に日本という国は、自然の脅威が繰り返されるのだから
みんなでもっと考えないといけないと思うし、

この映画でいえば、
主人公がいつか自分自身の子供や家庭を持った時に
両親と弟からの、への、深い愛情を再確認して
感謝して生きていってほしい・・・
そう思うだけしかできませんでした。





この映画の結末

交通事故で父親を亡くしたという見知らぬ少年に
「風の電話」のことを聞き、一緒に行く。
少年が先に話して自分の番になった。

言いたいことを言いまくって、泣きじゃくり、
受話器を置いて、ベンチに座った。

最後の字幕にはこの電話を
震災後に3万人が使ったと書いてあった。



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